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それはただのインク

ものすごく暴力的な夢をみた。まじでそういうの苦手なので、夢をみながら、いやだなあいやだなあとずっとおもっていた。たぶん『お嬢さん』を観にいくか迷っていて、パク・チャヌクは『オールド・ボーイ』しか観たことないなあとか思いだしていたせい。

体調があまりよくなくて、休みの日もどこかに行くかどうしようかぐずぐずしているうちに終わってしまうことが続く。いまのところに引っ越してから一年強、のどからの風邪をひいて声が出なくなることが何度もあって、さすがに加湿器を買わなきゃいけないんじゃなかろうか、とおもっているうちに春。

サラ・ウォーターズ『荊の城』、第二部に入った瞬間に物語が反転するの、すごく好きなんだけど(『ゴーン・ガール』も大好き)、結局どロマンスに回収されるのもたまらない。「わたしがあなたにしてほしいことがたくさん」というラストの台詞に、きゅんきゅんしてのたうちまわる。

読書会が終わったので、恩田陸のおさらいを再開。『劫尽童女』を読んでいて、これはディーン・R・クーンツのあれ、文春文庫で出てた犬のあれだな、とかおもっていたのだが、あとがきによるとキングの『ファイアスターター』とのこと。でもクーンツも読んでるよねぜったい。犬のあれは『ウォッチャーズ』だった。

ずっと希望を出していた異動の内示が出て、とてもうれしい。以前の上司の下に戻ることになるのもうれしい。とにもかくにも春である。

荊[いばら]の城 上 (創元推理文庫)

荊[いばら]の城 上 (創元推理文庫)

 
荊[いばら]の城 下 (創元推理文庫)

荊[いばら]の城 下 (創元推理文庫)

 

 

三月ははるかなる茫洋

愛猫にテーブルの上に積まれた本をすべてなぎはらわれ、よりにもよって『蜜蜂と遠雷』のカバーが破れてしまったが、もうそれはわたしが悪いに決まっているので、やるせない気持ちをぐっとのみこむ。本に吐かれたりスピンを食われたりもするけれど、悪いのはぜんぶわたしだからさ……。

『ラ・ラ・ランド』と『ナイスガイズ!』で勝手にゴズリング二本立て。さほど好きなタイプの顔ではないのだが、なんというか技術力が高くて我の薄い演技がハマる。

 アンソニー・ドーアの『すべての見えない光』、はじめのほうはなんか小川洋子みたいだなあとかぼんやり読んでたけど、ラストの息が詰まるような展開が素晴らしい。ぜったいに一緒に幸せになることはできないふたりの束の間の出会いがほんとうに美しく、電車の中でこらえきれずぐずぐずと泣きながら読んだ。Twitter文学賞もとったようで、わたしももうすこし早く読んでいればこれに投票したとおもう。

すこしずつ春めいてきていて、ようやくダウンコートを脱げるのはうれしいが、冬から春にかけては心身ともに調子が悪くなるので気が重い。

すべての見えない光 (新潮クレスト・ブックス)

すべての見えない光 (新潮クレスト・ブックス)

 

 

一週間は短すぎる

二月は短く、それゆえに特別だ。
本屋大賞の二次投票をする。自分のアンテナにひっかかっていないものはやはりさほど出来がよくない。技術力の高い低いは小説をある程度読んでいるひとならわかると思うのだが……。今年は二位以下を決めるのに苦慮した。
1Q84』をまとめて読み、そのまま『騎士団長殺し』に突入。むしろ過去作は読まずにいたほうがよかったのかもしれない。小説として新しいところへ踏みこんでいる感じがなく、第2部は完全な惰性で読む。『1Q84』のほうが不満はあるがまだフレッシュだった。決してつまらないわけではないけれど。

騎士団長殺し :第1部 顕れるイデア編

騎士団長殺し :第1部 顕れるイデア編

 
騎士団長殺し :第2部 遷ろうメタファー編

騎士団長殺し :第2部 遷ろうメタファー編

 

 

気の毒なギリヤーク人

あれ、なにしてたんだっけ……、としばらくぼんやりするほど記憶がない。

『大きな鳥にさらわれないよう』の読書会に参加する。読書会はいつもとてもたのしくて、ひとりで読んでいたら気づけないようなことや、違う物の見方にであうことができる。みんな読書の経験値が高くて、話していて飽きることがない。

3回目の渋谷らくご。春風亭昇々と春風亭一之輔という番組で、大入り満員。落語はなぜ、聞く、という動詞をとるのか。というのはともかくとして、やっぱりおもしろかった。

ディストピア小説を読もう、とおもって、ハヤカワepi文庫から新訳が出た『動物農場』と『すばらしい新世界』を読む。『動物農場』は、リョサが書くような南米の国々を想起した。社会主義からあらわれた独裁政権はいずれも腐敗し恐怖政治にむかう。個人的にはロバのベンジャミンが読んでいてつらかった。シニカルな態度をとりつづけ、体制にコミットするのを拒んだ結果、大切な友人が食肉加工工場に送られるのをなすすべもなく見送ることになる。

今週はいよいよ村上春樹の新刊が出るということで、なんだかんだ言いつつもたのしみにしている。前哨戦として『1Q84』を再読中。やはり抜群に読ませる。しかし、セックスの話が多すぎないか。

ディストピア小説の流れで『一九八四年』も読んでいるので、『1Q84』と同時によむことになってしまった。

1Q84 BOOK1〈4月‐6月〉前編 (新潮文庫)

1Q84 BOOK1〈4月‐6月〉前編 (新潮文庫)

 

 

風邪をひいて誕生日

何が悪いといって、生活態度も栄養状態も通勤時間も勤務形態もすべてが悪いとしかいえないのだが、また風邪をひいた。ただただ咳がとまらず、声が出なくなったので、目を見てうなづいたり、目で訴えたりして仕事をやりすごす。

『ドクター・ストレンジ』を観たが、いまひとつぴんとこず。アトラクションを観たいわけじゃないんだよなあ。マーベルはだいたい観ているが、『アントマン』がいちばん好きだ。その次が『アイアンマン』と『デッドプール』かな。

相変わらず恩田陸ばかり読んでいて、あいまに本屋大賞の二次投票のための読書をしたりしている。今回未読はちょうど半分だった。この時点で読んでいない小説で、読んでよかったと思えるものはひとつあればいいほうである。いまのところまだない。

電車の中で『光の帝国』を読んで案の定泣く。

読んでも読んでも知らなかった新しい読みたい本があらわれてきて、どうしたらいいのかわからない。

36歳になった。

光の帝国―常野物語 (集英社文庫)

光の帝国―常野物語 (集英社文庫)

 

初春の恩田陸祭り

恩田陸直木賞受賞によろこんで、著作を再読しているだけで、あっというまに十日間が過ぎた。『六番目の小夜子』『球形の季節』『三月は深き紅の淵を』『図書室の海』『黒と茶の幻想』『木曜組曲』『朝日のようにさわやかに』『夜のピクニック』と、だいたい高校生から大学生くらいにかけて夢中になったものばかりで、雰囲気はなつかしいのだが、内容はほぼ忘れていて新鮮におもしろく読んだ。

デビュー作の『六番目の小夜子』は、文庫化の際に加筆修正したにしても、すでにして世界観がかたまっており驚嘆する。圧巻の作中劇のシーンは何度読んでも鳥肌のたつ素晴らしさ。ホラー的な要素もあるものの、思春期の揺らめきのほうが印象にのこる。

映画はなんとなく『ザ・コンサルタント』を見て、もっさりしたベンアフに癒された。

なべて世はこともなし、あっというまに一月が終わった。

六番目の小夜子 (新潮文庫)

六番目の小夜子 (新潮文庫)

 

 

四十肩とともに来たる一月中旬

日記

肩が痛い。肩というか背中の肩甲骨あたりが痛い。おそらく四十肩。腰を痛めたときにも感じたが、とにかくくしゃみが地獄である。加齢。

早川書房の異色作家短編集は大学生の頃にぜんぶ読んだのだったが、なぜか最近になって文庫化されているものがあるので、ひさしぶりにシャーリイ・ジャクスンの『くじ』を手にとった。表題作はものすごく有名かつ傑作なので黙って読んでほしいのだが、個人的には「背教者」という短編がとても心に残った。何もかもがうまくいかないような気がする朝、主人公の主婦に知らされたのは、飼い犬がご近所の鶏を殺したといううわさばなしで……、田舎のコミュニティの悪意、無神経な夫、残酷な子ども、あまりに無力な自分自身、とにかくすべてが息の詰まるような追いつめられ感に満ちている。

渋谷らくごに春風亭昇々を聞きにいく。1時間たっぷり笑った。新作と古典の区別もつかないくらいの初心者だが、何となく好きな感じの噺家さんがわかってきた。たぶん小説や映画の好みと変わらない。しかし自分の好きなものについてうまく言葉にできないのが、もどかしい。

 直木賞芥川賞候補作を読むのは、もちろん楽しいからに決まってるんだけど(ふだん手にとらないジャンルや作家の小説にふれるのは、たとえ読んでみて好きになれなかったとしても、よい体験だとおもう)、もうひとつ、本屋さんらしい書店員でいたい、いたいというか、お店にそういう人がひとりくらいはいるべきではないのか、という気持ちもあってやっている。その店で直木賞受賞作をひとりも読んでいないとしたら、なんというか、とても貧しい気がする。そりゃ書店は衰退するよな、売ってる人が買ってないし読んでないんだから、と。何はともあれ、恩田陸山下澄人の受賞はすなおによろこばしい。どちらもよい小説だった。

肩の痛みは三日ほどでおさまった。

 

くじ (ハヤカワ・ミステリ文庫)

くじ (ハヤカワ・ミステリ文庫)

 
蜜蜂と遠雷

蜜蜂と遠雷

 
しんせかい

しんせかい