忘れちゃだめだよ

佐藤正午の新刊が出たぞ!

『月の満ち欠け』はひさびさの書き下ろし。物語の骨格はストレートな恋愛小説なのだが、外側の語り手から始めるあたり、佐藤正午らしい韜晦と自意識にまみれていてたまらない。もちろん枠の外側からでなければ語りえないという小説的な技法に自覚的であるからこそ選びとられるかたちなのだけれど(『鳩の撃退法』も『Y』も『ジャンプ』も『身の上話』も『アンダーリポート』も)、やはり渦中の人物に語らせないというのは自意識のなせる業だとおもう。

切れてしまった気持ちを立て直しきれないまま働いている。定期券の更新をするのも腹が立ってPASMOをへし折ってしまいそうなくらいだ。

月の満ち欠け

月の満ち欠け