10月の生活と読書

金木犀の香りがわからぬ無粋な人間を卒業できたのは、四十を過ぎてからである。秋口にみなが言う、金木犀だ、がぜんぜんピンとこず、わたしだけ鼻が悪いのだろうかと思っていたのだが、金木犀の花を見たらそれとわかるようになってから香りもわかるようになった。しかし花なしであの匂いだけやってきてもわからぬ気がするから、素敵人間への道のりはまだまだ遠い。

会議のための報告書作り。毎度思うが、成果のアピールが下手くそで、これといって何もやってないんですけど……、とか言ってしまいがちなのだが、実際のところ自分ができることはやっているのだし、結果売上は上がっているのでアピールしないと純粋に損なのである。しかし天然アピール人間みたいな人を見てしまうと、自分にはできない……とすぐしおしおになる。ともあれ会議に出席、ほぼ座っているだけだったが、今回もそれってどうなのと思う発言(太ったんじゃない?とか、女の子なんだからきちんとして、みたいなの)を耳にしてげんなり。自分に対して言われているわけではないので(社内の人と仲良くないから言われない)、気にしすぎることもないのかもしれないが、聞くだけでも嫌なんだよなぁ……。

繁忙期へ向けて先に有休消化。特に予定もなくただ家で猫をねちねちとかまいつつ読書。

10月に読んだ本残り。『ハイファに戻って/太陽の男たち』は、ガザの現状を思うに読んでいて非常に辛い気持ちになるが、素晴らしい小説であるし、文学が果たすべき役割のひとつの到達点であるように思う。このような小説が翻訳され、そして文庫で読めるようになっていることに感謝したい。