一年でもっとも美しい季節

山本周五郎賞候補作と三島由紀夫賞候補作をいくつか読んでみる。町屋亮平『青が破れる』が拾いものであった。デビュー作らしい瑞々しさがあり、文藝らしいクセもあり、今後伸びていってほしいなとおもう。受賞したのは宮内悠介と佐藤多佳子。『明るい夜に出…

どこへも向かわない気持ち

老猫が痩せてきているようだ。6月で16歳になるので、衰えてゆくのは当然のことなのだが、とはいえできるだけのことはしてあげたい。自宅にいるときは数時間おきに猫缶を少しずつあげて中腰で食べるのをじっと見ている。 荻窪の書店Titleの開店顛末が書かれた…

いま手の中にあるもの

10年ぶりくらいに脳貧血で倒れる。しかも電車の中で。完全に意識が飛んだ。出勤途中だったので、そのまま電車を降りてしばらく休んでから帰宅した。まあそういうこともある。 西川美和のエッセイ集が出ていたので、喜び勇んで購入。やはり素晴らしい。作家と…

忘れちゃだめだよ

佐藤正午の新刊が出たぞ! 『月の満ち欠け』はひさびさの書き下ろし。物語の骨格はストレートな恋愛小説なのだが、外側の語り手から始めるあたり、佐藤正午らしい韜晦と自意識にまみれていてたまらない。もちろん枠の外側からでなければ語りえないという小説…

夜の芝生の上に

帰り道ラジオから流れてきた「流動体について」、何もかもふっとばしてしまうほどの強い力でつかまれて、涙が出てくるのを止められなかった。悲しいのとはちがう、うれしいのでもない、ただただ心の中がぜんぶ揺りうごかされて、あふれでるように涙が出てく…

それはただのインク

ものすごく暴力的な夢をみた。まじでそういうの苦手なので、夢をみながら、いやだなあいやだなあとずっとおもっていた。たぶん『お嬢さん』を観にいくか迷っていて、パク・チャヌクは『オールド・ボーイ』しか観たことないなあとか思いだしていたせい。 体調…

三月ははるかなる茫洋

愛猫にテーブルの上に積まれた本をすべてなぎはらわれ、よりにもよって『蜜蜂と遠雷』のカバーが破れてしまったが、もうそれはわたしが悪いに決まっているので、やるせない気持ちをぐっとのみこむ。本に吐かれたりスピンを食われたりもするけれど、悪いのは…

一週間は短すぎる

二月は短く、それゆえに特別だ。本屋大賞の二次投票をする。自分のアンテナにひっかかっていないものはやはりさほど出来がよくない。技術力の高い低いは小説をある程度読んでいるひとならわかると思うのだが……。今年は二位以下を決めるのに苦慮した。『1Q84…

気の毒なギリヤーク人

あれ、なにしてたんだっけ……、としばらくぼんやりするほど記憶がない。 『大きな鳥にさらわれないよう』の読書会に参加する。読書会はいつもとてもたのしくて、ひとりで読んでいたら気づけないようなことや、違う物の見方にであうことができる。みんな読書の…

風邪をひいて誕生日

何が悪いといって、生活態度も栄養状態も通勤時間も勤務形態もすべてが悪いとしかいえないのだが、また風邪をひいた。ただただ咳がとまらず、声が出なくなったので、目を見てうなづいたり、目で訴えたりして仕事をやりすごす。 『ドクター・ストレンジ』を観…

初春の恩田陸祭り

恩田陸の直木賞受賞によろこんで、著作を再読しているだけで、あっというまに十日間が過ぎた。『六番目の小夜子』『球形の季節』『三月は深き紅の淵を』『図書室の海』『黒と茶の幻想』『木曜組曲』『朝日のようにさわやかに』『夜のピクニック』と、だいた…

四十肩とともに来たる一月中旬

肩が痛い。肩というか背中の肩甲骨あたりが痛い。おそらく四十肩。腰を痛めたときにも感じたが、とにかくくしゃみが地獄である。加齢。 早川書房の異色作家短編集は大学生の頃にぜんぶ読んだのだったが、なぜか最近になって文庫化されているものがあるので、…

一月上旬は朦朧と過ぎる

年が明けても昨日とまったく同じように出勤しなければならない。 今年の1冊目は年末からすこしずつ読んでいたブライアン・エヴンソンの『ウインドアイ』。『遁走状態』の評判は聞いていたものの、ここ数年あまりクレストブックスに心が動かなくなっていたの…

2016年に読んだ本

2016年は180冊くらい読んだようです。読書傾向としては国内一般小説が多め、あとは翻訳ミステリー、ノンフィクション、新書をちょっとずつ読んだかなという感じ。相変わらず方向性の定まらない読書をしています。海外文学をあまり読まなかったのが心残り。来…